心理学者のつぶやき

論文100本

10年ほど前,ライプツィヒ大学にあるヴント(Wilhelm Wundt)記念室を訪ねたことがある。 ヴントは,実験心理学(生理学的心理学)の父といわれるが,60代の後半から「民族心理学」全10巻を著すなど,幅広い分野で著作を残している(88...
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授業の値段

大学の講義科目は,90分授業が15回で,2単位として認定される。 このような授業,一体いくらで引き受けるのか? -- 大学の授業は,常勤講師が担当することもあるし,非常勤講師が担当することもある。 非常勤講師は,個別に交渉して値段を決めるこ...
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奇跡の5日間

9月23日から27日の5日間,第17回国際心理生理学会議(IOP2014)を開催した。 2年以上も前から続けてきた努力が,見事に結実した5日間だった。 国際会議を実施するのは,正直にいえば面倒である。 特に,この学会(国際心理生理学機構,I...
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局所解と最適解

自戒を込めて言うが,大学教員は一言多い。 不動産業界では,大学教員はとても嫌われているという。 上から目線で,文句が多いからだそうだ。・・・耳が痛い。 ---大学教員という仕事は,狭い専門に閉じこもってしまえば,「お山の大将」でいられる。 ...
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「たとえ」の力

頭のいい人は「たとえ」がうまい。 昔からそのように感じていた。 私の恩師であるぺーター・ウルツパーガー(Peter Ullsperger)先生もそうだった。 -- 脳波解析の手法に,ダイポール分析というのがある。 頭皮の表面で観測された電位...
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心理生理学を学ぶ意義

九州大学の文学部で,「心理生理学の基礎と応用」という集中講義をする機会に恵まれた。ほとんどが学部生だったが,熱心に聴いてもらえた。 心理学の学生には,「認知心理学」や「社会心理学」と同様,「生理心理学」と呼ぶ方がなじみがあるかもしれない。 ...
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論理学者,数学者,物理学者,技術者,心理学者

金出武雄先生(カーネギーメロン大学)の 独創はひらめかない―「素人発想、玄人実行」の法則日本経済新聞出版社 2012 を読んだ。この本の前版, 素人のように考え、玄人として実行する―問題解決のメタ技術PHP研究所 2003 は以前からの愛読...
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既視感

最近の大学はいろいろと仕事が増えた。 国からの指示になんとか応えようと必死になり,教員は右往左往している。 このような時代の空気をどこかで見聞きした気がしていたが,ようやくその正体が分かった。 太平洋戦争のときの日本だ。 百田尚樹・渡部昇一...
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ネットと未来

久しぶりに新書を読んだ。 中川淳一郎 (2013).ネットのバカ新潮新書 ネットの変遷と現状に精通した著者の醒めた視点が面白かった。 テーマは「当たり前の世界になったインターネットで私たちはどう生きていくか」(p. 22)。 ネットは平等を...
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研究者を続ける3つのヒント

東京で行われた若手研究者を対象としたセミナーで話題提供した。 前半は「かわいい」の話,後半は「研究テーマ」の選び方についての話だった。さすがに都会には問題意識の高い学生が多いと感心した。 大学院に入学してから20年が過ぎた。いろいろと人並み...