わかったつもりにならない

このたびの災害を経験し,何かを語ることに慎重になった。

何が語られるのを聞いても,本物だという感じがしない。言葉が現実に追いついていない。

そういうときは,ただ黙するのが正しいあり方のように思えてくる。

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今回の出来事が日本に与えた深い深いダメージの前で,自分が取り組む心理学の意義について考えている。

心理学を学ぶ効用とはなにか? 

学生時代に読んだ本をいまでも忘れない。

心理学を学ぶメリットは,相手の気持ちが見抜けるようになることではなく,実はあべこべなのです。相手の気持ちが見抜けたつもりになったとき,ひるがえって,やっぱりこれも自分の思い違いかもしれない,と反省するだけのゆとりが生じたら,心理学を勉強した値打ちがあります。・・・もう一ついえば,心理学を学べば,人間同士はそう簡単に理解し合えるものではないという悟りに達することができます。(pp. 12-13)

乾孝 (1981). 生活のなかの心理学 (朝日選書 182) 朝日新聞社 より

誰に対しても,何に対しても,わかったつもりにならないこと。

いまこそ,これを肝に銘じて,日々の務めを果そうと思う。

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