岡本太郎

生誕100年ということで岡本太郎が見直されている。

東京国立近代美術館でも,岡本太郎展が開催されている。

生前は「芸術は爆発だ」と叫ぶ風変わりな人というイメージしかなかった。

今回はじめて著作を読んでみて,いつでも真剣に生きてきた人だと感じた。

岡本太郎 (1954/1999). 今日の芸術 光文社(知恵の森文庫)
岡本太郎 (1956/2005). 日本の伝統 光文社(知恵の森文庫)
岡本太郎・岡本敏子 (2003). 強く生きる言葉 イースト・プレス

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芸術や人生について語る彼の言葉が,学問的に正しいかどうかはわからない。

しかし,自分をよく見せようとしていないこと,真剣勝負で熱く生きていることはわかる。だから,言葉尻をとらえて議論しようという気がしない。

オリジナリティがますます重視される現代。岡本太郎の生き方にようやく時代が追いついてきたといえる。

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子供のときから権威に服従せず対決してきた岡本太郎は,テレビのプロデューサーに「一匹オオカミだったんですね」と言われて反論する。

「冗談いっちゃいけない。そんな陰気なものじゃない。一人ぼっちのガキ大将だ。」(p. 100)

岡本太郎 (1988/1993). 自分の中に毒を持て 青春出版社

確かに。一匹オオカミは陰だが,子分のいないガキ大将なら陽だ。

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岡本太郎自身が,若いときにパリでピカソの絵を見たときのことを話していた。

泣いたことは人生で何度もないが,そのときは帰りのバスのなかで涙が出たと。

そして,よし,これだけ感動させられたのだから,自分はピカソとまったく違うことをやって,ピカソを超えてやると決心したと。

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優れた人を知ると,その人を尊敬し神格化したくなってしまう。私もかつてはそうだった。

でも,その人はその人,自分は自分だ。神格化したらその時点で相手の虚像を見ることになるし,自分からも目をそらすことになる。

岡本太郎に感動したら,岡本太郎と違う道を行かなければならない。

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