前の大学でも,今の大学でも,学生たちにしつこく言うことがある。
「メールを受け取ったらすぐに返事をしなさい」
私の経験則だが,できる人は,忙しいはずなのに,すぐに返事をくれることが多い。
世界で名の通った一流研究者たちから学んだことだ。
すぐに返事をもらえるとうれしいから,私もそうしようと心がけてきた。
すぐに返事をすることは,「相手のニーズをすぐに満たしてあげる」だけでなく,「さっさと仕事を片づけて,頭の中を整理できる」というメリットがある。
たまたま読んだ本に,同じことが書いてあった。
ムーギー・キム (2016). 最強の働き方 東洋経済新報社
観察していると,ふだんメールを使っているのに,メールの返信の遅い人は,(1)仕事の段取りができない人か,(2)相手のことを気にかけない自己中心的な人が多いようだ。
言い訳はいろいろと達者だが,結果として,周りによくない影響を与えている。
仕事のメールに速く返信するのは,「相手を喜ばせる/信頼を高める」ことになるが,「全体としての成果を上げる」ことにもつながる。
「できる人」を目指せというわけではない。
でも,人を喜ばせたいとか,成功したいとか,少しでも考えているなら,メールの返信を速くするなどして,こつこつと信頼を積み重ねていくしかない。
「何かしてもらったらすぐにお礼をする」というのも大切だ。
たとえば,論文を請求してきたので送ってあげても,何も言ってこない人がいる。
こちらは自動返信ではないのだから,軽く見られた気がする。
「何かしてもらったらすぐにお礼を書く」という行動は習慣にすることができる。
そうすれば,ずっと小さな労力で大きな信頼を得ることができるだろう。
おまけだが,メールの最後に「取り急ぎ」という言葉をつけたがる人がいるが,後で長文のメールを送る気がないなら,やめたほうがいいと思う。
「自分は忙しい」というアピールに聞こえるし,「速く返事してやったんだぞ」と恩着せがましい気がする。
万人が納得するメールを書くのは難しい。だが,ちょっと気をつければ,相手を尊重していることは伝えられるだろう。
お互いに尊重されているという感覚を持つことが,チームで仕事をする上でとても大切なことのように思える。