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イタリアの宿題

イタリアの宿題

第19回国際心理生理学会議(IOP2018)に参加するため,9月3日から12日まで,イタリアを訪問した。6年前のIOP2012のピサ以来,イタリアは今回で2度目である。

2012年のピサ会議でも感じたが,運営は実に大雑把で,時間の管理やテクニカルサポートもアバウトだった。それでも,最後はうまくまとめてしまうのが,イタリア人のスタイルなのかもしれない。

イタリア人はスパゲティを食べるときにスプーンを使わない。スプーンを使うのは上品に食べるためなのかと思っていたが,そうではないらしい。子どものときはそうしていたが,今はスプーンなしでも食べられるのだと言っていた。一緒に立ち寄ったレストランでは,私だけスプーンはいるかと聞かれた。日本食を食べる外国人にフォークやスプーンを持ってきましょうかと言うのと同じ感覚なのかもしれない。

いつものように,学会初日に理事会が開かれた。執行部4人,理事10人のうち,欠席は1人だけだったから,なかなかにぎやかだった。予定を超える2時間半にわたって,さまざまな話題について熱い議論が行われた。イタリア,ドイツ,オーストラリア,アメリカ,フランス,日本と,違う立場の人間がいるので,なかなかまとまらない。最低限の大枠だけ合意したので,あとはメール審議となるだろう。規約の変更を伴うため,事務局長に残された仕事は多い。

会議の後に,ローマにあるラ・サピエンツァ大学を訪ねた。ここで「かわいい」についての講演をするのが,今回のイタリア訪問のもう一つの目的であった。招待してくれたのは,Vilfredo De Pascalis教授。自宅に泊めていただいた。築50年以上の古いアパートの最上階(5階)だったが,ゲストルームもあり,夫妻の趣味できれいに飾られていた。

大学はちょうど夏休みが終わったところで,人が集まるか心配していた。それでも,若い学生を中心に15~20名ほどの聴衆がいた。イタリア人というとラテン系の陽気な人たちをイメージするが,実は内向的でシャイな人たちも多いことが分かった。また,ふつうのイタリア人は英語を話すのに苦労しているというのも,今回の発見だった。

実験室はとても小さく,設備も古くて貧弱であった。実験参加者が入るブースは1畳ほどしかなく,刺激提示用の液晶ディスプレイを扉の裏に貼りつけているほどだった(頭を洗うためのシャワーは別室にあった)。にもかかわらず,この研究室からはたくさんの論文が発表されている。昨年,イスラエルを訪問したときも同じことを感じた。研究設備と研究成果は必ずしも比例しない。私の研究室も含め,日本の多くの研究室には,うまくいかない構造的な原因があるようだ。時間の使い方なのか,テーマの選び方なのか。一番大きいのは,指導者の質のような気がして,悩ましく思った。

今回,イタリアから持ち帰った宿題は,研究成果を上げるのに本当に必要なのは何かを考えることだ。少なくとも予算があれば,研究ができるわけではないのは確かだ。

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